感覚を言葉に、言葉で感覚を

感覚を言葉にとどめ、言葉で感覚を蘇らせる

メンタル測定器

フルートを習い始めて3年と8カ月ちょっと、どうやら初めてのスランプに陥っていると認めざるを得ない。

昨日のレッスンでは、ほとんど音が出なかった。自主練習をサボッていたのなら、練習量を増やせばよいという改善方法がすぐ浮かぶのだが、いつも以上に自主練に時間を割き、練習に励んでいたのでどうしたらいいのか分からなくなった。

 

先生に聞いたり、ネットで検索したりして、音が急に出なくなった原因がなんとなく分かった。どうやら、頑張り過ぎ、力み過ぎが原因のようだ。

身体に力が入り過ぎて、吹き込む息が過剰になって音がかすれる。フルートは、ちょうどいい姿勢、ちょうどいい息の量、ちょうどいい心理状態で吹かないと音が出ない楽器だ。

ある人が、「『もっと〇〇しなきゃ』という思考になりやすい人は、急に音が出なくなるという壁に必ずぶち当たる」とネットに書いていた。

これ、まさに私のことだ。

 

振り返れば、習い始めて1年目、2年目は、全くの初心者なんだから、とりあえず音が出て短い曲が吹ければ十分だと開き直るような気持ちで臨み、3年目はどの音程も出せるようになって褒められることが多くなり、4年目は、どうやったらもっと響くいい音が出るのか、他と比べたりして、もっと曲に表情をつけられるようになりたいと試行錯誤を始めた。

先日の週末は、何か学びがあるかもしれないと考え、別の人のフルート演奏を聴きに行って、偶然にも至近距離の席に座ったものだから、曲を楽しむというよりも、吹き方の観察をしてしまった。帰宅してから、彼女の吹き方を真似して吹いてみて、なんとなくうまく吹けるようになった気分になっていた。

でも、他人の吹き方はその人に合った吹き方なので、安易にマネをしたのが悪かった。

自分のいつもの吹き方やフォームが崩れ、自分なりのいい音を出せるポイントが体感でつかめなくなってしまった。

自分の中のバランスが完全に崩れてしまったようだ。

 

つくづく、フルートは自分のメンタルの状態を反映する楽器だと思う。

悲しいときは音が低くなるし、焦ると上ずったような高すぎる音になるし、今回みたいに頑張り過ぎると音が出なくなる。

そして、「もっと○○しなきゃ」と自分を追い込めば追い込むほど、以前やっていたことが出来なくなってしまう。

「今日はどんな音が出るかな~」くらいの気持ちでいいのかもしれない。

今後の私の人生において、フルートは、私のメンタル状態を包み隠さず写し出す計測器のような存在になるなと思った。

そして、やっぱり、どんな時も、自分以外の人になろうとしない方がいいなと思った。